地方創生、地域振興、地域活性化などは、日本だけでなく、世界各国で重要な課題となっている。“地元を良くしようとする試み、努力”が必要であることは多くの人に共感されるであろうが、実際に取り組むときに、どう考えてどう実行していけばよいのであろうか。具体的な行動が、その場限りの思いつきでなく、過去の失敗や、他の地域の失敗を繰り返すものでないようにするにはどうしたらよいのであろうか。

現在の地方創生の動きのルーツが、1970年代後半から80年代にかけての「地方の時代」（長洲一二 神奈川県知事（当時））や「一村一品運動」（平松守彦 大分県知事（当時））までさかのぼるとすれば、本書を執筆している2021年まで、40年以上ものあいだ、日本各地で地域振興、地域活性化を行ってきたことになる。その成果はどうだったのであろうか。このような問題意識に対して、本書は、経営学の枠組みで、地域振興、地域活性化を考えて、具体的に行動するための「入門書」を提供することを目指している。地元で現場に携わっている実践の人たちや、地元の将来を担おうと志す若者や学生を読者に想定している。（本書「はじめに」より）